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2020/02/03

BBC2019 レポート(3)

BBC2019 レポート(3)

多くのセッション(100以上)がありましたが、IIBA本部関係のセッション以外をご紹介します。
便宜上、次のように分類しています。

  • ビジネス・プロセス
  • ビジネス・ルールと意思決定
  • アジャイル・ビジネスアナリシス
  • ビジネス・アーキテクチャ
  • ビジネス・データ・アナリティクス

まずビジネス・プロセス関係です。

ビジネス・プロセス

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相変らず根強い人気があるので、8つのセッションがありました。まさにビジネスアナリシスの屋台骨です。日本のビジネス・プロセスの遅れ方が気になっていますが、その差がますます広がっている感じがすることに大きな危惧を覚えます。その差を歴然と認識したのはBBC2013、今から6年前。初めてBBCに参加した時のことを想い出します。その時のRoger Burltonのプレゼン。プロセスの6つの階層モデル、そのすべてにBSC(KPIとして)が紐づけられていて、レベル1からレベル6までトレースされる構成です。日本のプロセスにはこのKPI(メトリクス)があまり見うけられませんね。上位レベルで改善するべきKPI(またはKGI)を特定し、それに関連する下位プロセスだけを特定して改善すれば上位のKGI(経営数字)に繋がるのですが、上位と関連するかわからない担当者レベルのプロセスを標準化もせずにRPAで自動化しているケースもまで見受けられます。

詳細は下記Webページをご覧ください。BBC2013のレポートの一部です。

BBC2013レポート

 

ビジネスプロセス・マニフェストの日本語版(筆者の翻訳)もあります。
DX実現にはビジネス・プロセスの変革が不可欠なことがよくわかります。

代表的なセッションです(タイトルのみ)。

  • Modeling Your Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーションのモデル化)
  • Transforming a Kingdom(王国のトランスフォーメーション(アラブ首長国連邦))
  • It’s time for AI assisted Business Process Improvement(AI支援によるビジネスプロセス改善)
  • Transforming a Business Process Infrastructure(ビジネスプロセス・インフラの変革)

 

ビジネス・ルール・意思決定

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何と9セッションもあります。日本が最も弱いのはこの分野かもしれません。昨年ビジネスルールの大家Ron Ross氏を招聘して、2018年のIIBAイベントを開催したのですが、無料に近い参加費への申し込みは200名以上ありましたが、翌日の有料チュートリアルは残念ながら僅かな申込みしかありませんでした。

オランダの税務署(DTCA:Dutch Tax and Custom Administration)ではすでに85%までデジタル的に行っている税金の還付手続き(日本での確定申告でしょうか)の発表がありました。まずます複雑になる税法の改正、その変更をIT化するための開発時間の短縮化、開発リソースの制約などの課題の解決です。その立役者はBRMSとビジネスアナリストです。「法律のアジャイル実行」では、税法改正に基づく永続的なサービス、法律とIT仕様とのトレーサビリティの確立、そして変更の迅速さ・検証可能・理解容易、をビジョンに掲げたとこと。日本の税務署はどうでしょうか。e-Taxの普及率はまだまだ低いですね。

さらにBBC2019ではビジネスルールのみならず意思決定(Decision Manageement)が華やかでした。最近AIプロジェクトの失敗例が後を絶たないようです(主にUSでの話として)。AIでは人の経験を学習させますから、間違った意思決定を含む経験を学習させるとAIも一定の割合で間違いを犯します。特にお金の支払いや意思決定を含む事案(融資の査定や保険の査定)にAIを使おうとするとPoCではうまくいきますが、判断根拠を説明できませんから、結局使い物にならないということで、失敗プロジェクトになるケースが多いようです。

BBC2019ではDMN(意思決定モデル)を用いて意思決定をモデル化し自動化すればAIによる失敗を未然に防ぐことができるので、「Only You Can Prevent From AI Failures(あなた(ビジネスアナリスト)だけがAIの失敗を防ぐことができる)」というセッションまでありました。講演者はJames Taylor, 2017年に日本に招聘してDMNの講演を行ってもらいましたので、ご存じの方もいるかと思います。このように日本で講演してくれた方々と再会できるのもBBCの大きな楽しみです。もちろん、John Zachman、Roger Burlton、Ron RossとGladys Lamにも再会できたのは嬉しい限りです。

代表的なセッションです。

  • From Tax Law to Generated Decision Service(税法改正から意思決定サービスの構築)
  • Beyond Decision Model(意思決定モデルを超えて)
  • Decisions in the Process Context (プロセスコンテキストにおける意思決定)
  • Distrupt the Disruption:Engineering for Business Agility Under Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーションにおけるビジネスアジリティのエンジニアリング)

 

アジャイル・ビジネスアナリシス

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これも9セッションあります。以前から大きく様変わりしているのにおどろきました。今や日本で言うアジャイル開発のスクラムやXPなどはどこにもありません。一言で言えばエンタープライズレベルでのアジャイルです。それもソフト開発だけではありません、ビジネスそのものをアジャイルで行なっていますね。そのために組織もアジャイルにしなければいけません。アジャイルな組織へのトランスフォーメーションを扱うものまでありました。

想像していた通りですが、スクラム等が実績を出してくるとそれをエンタープライズレベルまで拡大しようとする動きが活発になってきています。手法として確立しているのはSaFEです。規模が大きくなるとプロダクト・オーナー(PO)がステークホルダー要求を直接引き出すのはもはや困難になってきています。そこにはビジネスアナリシスの大きなチャンスがあります。また逆にビジネスアナリストの新たなキャリアパスとして位置付けられてもいます。

最終日の基調講演はCisco Systemにおけるデザイン思考の実践を話してくれました。Ciscoの中での実例なので説得力が違います。ワールドクラスの起業家になるための方法論の一部としてデザイン思考、それを実現するのもアジャイル・ビジネスとなります。

日本でもアジャイル開発が立ち上がってきたのは大変喜ばしいことです。今はスクラムが花盛りという感じです。IIBAは2年前にBABOKのアジャイル拡張版V2を発行しています。これは小規模のソフト開発(スクラムやXPなど)ではなくエンタープライズレベルでのアジャイルを対象にしたもので、マルチレベルのローリング計画モデルとして、戦略ホライゾン、イニシアチブ・ホライゾン、デリバリ・ホライゾンの3レベルの構造を持っています。現在IIBA日本支部で日本語化が進んでおり、間もなく発行(出版)される予定ですので、お楽しみにしてください。

代表的なセッションです。

  • Enterprize Expedition:A guide for Agile Organizational change Journeys(エンタープライズの探検:アジャイルな組織変革ジャーニー)
  • Lean-Agile Business Analysis(リーン・アジャイル ビジネスアナリシス)
  • Creative Match:Successfully utilizing BA’s as Product Owners(BAをプロダクト・オーナーに成功裏にマッチングする)

 

ビジネス・アーキテクチャ

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日本でお馴染みのJohn Zachman氏は80歳を超えていますが相変らずエネルギッシュなプレゼンをされています。iPpadをかざしながらのプレゼンスタイルは3年前(2016年)に日本での講演を思い出します。ビジネスアナリスとビジネス・アーキテクトのコラボレーションや、プロセスの代わりに主役を演じるようになってきたビジネス・ケイパビリティ(ビジネス能力)のプレゼンが目立っていました。DXまで対象とするビジネスアナリシスにはビジネス・アーキテクチャが不可欠です。そのためもあり、アーキテクチャとアナリシスのコラボレ-ションを強調するセッションもありました。

 

 

 

 

ビジネス・データ・アナリティクス

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IIBA本部が力を入れている分野です。

特別講演ではHSBC銀行がビッグデータを活用しカスタマーボイスを分析し、新しいサービスに着手する方法を公表していました。
ビジネスアナリストにとってもこの分野はチャレンジするべきものです。

CBDA(Certification of Business Data Analytics)にチャレンジしませんか。英語ですが。